ソリューション:Biz-AI×OCR / AI-OCRシステム
新潟県村上市さま
帳票処理の負担を削減し、業務を一本化。手作業に頼らない給与支払報告書の入力体制を構築
新潟県村上市さまは、給与支払報告書※の処理業務において、従来のOCR機器による制限や人手不足による業務負荷の増大に課題を抱えていました。様式の異なる帳票や手書き・活字の混在に対応するため、SGシステムの「Biz-AI×OCR」を導入。帳票処理の自動化・業務フローの統一・臨時職員の教育負担軽減など、複数の観点で大きな成果を上げています。
※給与支払報告書・・・給与支払者が受給者に対して前年支払った金額などを市区町村に提出するための書類
- BPO-IT
- スキャニング
左より 新潟県村上市 川内 健⼆⽒、⾼橋 佳広⽒
市役所から⾒える国指定史跡‧村上城址(通称:お城⼭)を背景に撮影された⼀枚
課題と成果
一部業務、限られた時期にしか使わない専用機器を通年設置し、継続的な保守費用がかかっていた。
業務フローが複雑になり、臨時職員の育成にも影響していた。
帳票レイアウトが一部でも変更になると、その都度、設定変更作業のための外部費用と時間がかかっていた。
手書き・活字の区別が不要になり、業務開始前の教育工数が削減。
入力作業にかかる人員を約2名分削減し、教育工数の削減にも成功。これにより、繁忙期においても他業務との柔軟な人員配置が可能となり、組織全体の生産性向上に貢献。
専用システム上での作業が不要になり、Excelで修正・チェック作業ができるようになったため、非専門職の職員でも対応可能に。
様式変更はAI-OCRアプリにて対応するため、設定変更の外部費用は不要。Biz-AI×OCRでは利用期間中に使用量に応じた費用が発生するのみに。
プロジェクトの背景

業務フローの複雑化と高コストなOCR機器運用が限界に
村上市では、年間で約3万2千件の給与支払報告書を受け付けており、そのうち紙での提出が約1万2千件、全体の約4割を占めています。これらの帳票は手書き・活字が混在しており、かつ企業や年度によって様式が微妙に異なるため、処理にかかる手間が非常に大きいものでした。従来のOCR機器では対応できる帳票が事前に読み込んだものに限られており、特に手書き帳票は読み取り対象外となるため、目視での確認や手入力が必須となっていました。
しかも、このOCRは専用システムとなっており、使用時期が限られるにもかかわらず通年設置する必要があり、コストパフォーマンスの面でも課題を感じていました。また、法改正や項目やレイアウトの変更があるたびに、設定変更を外部に依頼しなければならず、そのたびに追加費用がかかっていた点も悩みの種でした。
加えて、業務フロー自体も煩雑でした。手書きと活字を事前に分類し、別々の読み取り工程を経て、それぞれ個別に確認・修正する体制は人手も時間もかかるものでした。繁忙期には臨時職員を多数配置する必要があり、引き継ぎや教育の手間も大きく、全体として『現場に無理を強いる構造』になっていたのです。
導入の経緯・効果

無料トライアルを通じて操作性と精度を実感
実作業工数、教育工数などを含む給与支払報告書入力業務全体を通じて30~40%の業務削減を実現
Biz-AI×OCRの存在は、自治体専門誌の事例を読んで初めて知りました。印象的だったのは、手書き帳票にも対応していて、なおかつ専用機器を必要とせず、Excelなどの汎用ソフトで運用可能という点でした。そこで、まずは無料トライアルをお願いし、実際に自分たちの帳票を読み取ってみることにしました。
トライアルでは、手書き・活字の混在はもちろん、年度の異なる様式や記載ミス、記入漏れなども含めたリアルな帳票を用意し、読み取り精度や対応力を検証しました。また、非技術系の職員でも操作できるかどうかも重要な評価ポイントとし、UIの操作性確認も入念に行いました。その結果、非常に高い読み取り精度と操作性が確認でき、現場としても『これなら使える』と確信を持てたため、正式導入を決定しました。
導入後は業務フローが大きく変わりました。まず、手書きと活字を分ける必要がなくなり、1本化したフローの中で帳票を処理できるようになりました。また、臨時職員によるチェック作業についても、Excelを活用した独自の仕組みによって、専用システムの教育にかけていた時間を短縮できるようになりました。1シート目でチェックと修正を行い、その内容が2シート目に自動反映され、後続システムへの取り込み用の整形済データとして活用できるようにしています。
こうした仕組みによって、臨時職員のスムーズな立ち上がりが可能となり、結果として10人規模で対応していた作業が、8~9人でも無理なく処理できるようになりました。また、帳票が届いてから2~3日でチェックが完了するケースも出てきており、確定申告の時期など、処理スピードが求められるタイミングでも市民税申告に関わる発送業務など、給与支払報告書入力業務以外の別業務へ人員リソースを割り当てるといった対応が柔軟にできる体制が整いました。これらを総合的に考慮してみると、給与支払報告書入力業務全体として約30~40%程度の業務削減につながったと考えています。
加えて、Biz-AI×OCRは従量課金制のため、利用期間中に使用量に応じた費用が発生するだけなので、コストパフォーマンスの面でもメリットを感じています。

POINT
- 手書き帳票や活字混在、記載ミスにも対応できるBiz-AI×OCRを導入し、高精度な帳票処理を実現
- Excelを活用したチェック・修正フローを構築し、教育時間を短縮。入力~チェック完了までのリードタイムも短縮でき、給与支払報告書入力業務全体で30~40%の業務削減を実現
- 帳票処理を一本化し、繁忙期でも2〜3日でチェック完了できる体制を整備。柔軟かつ効率的な業務運営を可能に
今後の活用
写真右:営業担当 五味 光
他業務への展開や職員間のナレッジ継承にも期待
Biz-AI×OCRの導入で、給与支払報告書の処理にかかる業務負担は大きく軽減されました。私たちはこれを一つの成功事例として、今後さらに他の業務への展開を検討しています。たとえば、アンケートや申請書など、まだ紙、手作業で処理している帳票業務は他にもあります。Biz-AI×OCRは手書きにも強く、様式の柔軟性も高いため、幅広い帳票への応用が期待できると考えています。
また、Excelベースの運用方法もポイントです。マクロなど複雑な設定を行わず、誰でも扱えるものにすることで、職員が異動した場合でも容易に引き継ぎができます。これは自治体業務において非常に重要な視点で、属人化しにくい体制をつくるという意味でも、今回の導入は非常に意義深いものだったと感じています。
さらに、Biz-AI×OCRのような柔軟性の高いシステムであれば、来年度以降に増税(減税)や特別の手当など新たな帳票項目が出てきても、自分たちで対応しやすくなる点も大きなメリットです。SGシステムの担当者の対応も丁寧で、問い合わせに対しても迅速かつ的確な回答をいただいており、安心して運用できています。
今後は、同じような課題を抱える他自治体にも、今回のようなOCR活用のノウハウを共有していきたいと思っています。人手不足や業務効率化が叫ばれる中、こうしたツールが一つの解決策になると確信しています。
取材撮影にご協力いただき、ありがとうございました。
※本掲載内容は2025年8⽉時点のものです。
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